【レポート】最終日 ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが築き上げたディフェンスを表現し、中国に勝利
2017年6月8日
6月3日(土)より長野市真島総合スポーツアリーナ(ホワイトリング)にて連日熱戦を繰り広げてきた「東アジアバスケットボール選手権大会2017兼 FIBA ASIAカップ2017 東アジア地区予選)」は閉幕。「AKATSUKI FIVE」男子日本代表チームは目標としていた優勝には届きませんでしたが、中国を相手に76-58で最終戦を飾り、今大会を3位で終えました。
「昨日も同じようにハードに戦い、選手たちは全力でプレイしていました。しかし、40分間最後までそれを継続できなければ負けてしまいます」とルカ・パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチは、準決勝でチャイニーズ・タイペイに73-78で敗れた試合と比較。敗戦後、「リバウンドやルーズボールでやられてしまい、基本的な部分を徹底できていなかったために負けてしまいました。絶対にそこで負けてはいけないと全員が意識して臨んでいました」と選手同士で確認したことを#0橋本 竜馬選手は明かします。集中して試合に入ったことで、素晴らしいディフェンスから勢いに乗って次々と3Pシュートを決めて点差を開いていきました。
身長で上回る中国を相手にディフェンスでは試合開始から身体を張り、ペイントエリア内でも主導権を握ります。#15竹内 譲次選手は、スタッフ陣の対策により的を絞れていたこととともに、「身長差で負けているので、ファウルを取られる駆け引きもありますがそこは意識せず、できるだけタイトに身体をぶつけることを意識して守っていました」とフィジカルコンタクトで高さに対抗します。
パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチは「世界で戦っていくためには、ディフェンスで完璧な状態を作っていかねばならない」ことを重視し、半年間に渡って強化してきました。激しさを求めるとともに、「ディフェンスでも頭を使ってプレイすることを伝えてきました。ただ全力でプレイするだけではなく、心の底からバスケットボールを理解することが必要です」と言い、事細かく指導してきたことが、真剣勝負を通じて体現することができ始めています。高さに負けずインサイドを封じることができたことはスタッツにも表れ、37本のリバウンド数は中国の31本を上回っていました。
オフェンスでは世界基準のピック&ロールを伝授された日本代表選手たち。これまでの3戦ではなかなか決まることはなかったですが、フィジカルコンタクトを厭わずにプレイした中国戦でその成果がようやく見られました。#6比江島 慎選手は、「相手の特徴をスカウティングしたスタッフのアドバイス通りにピック&ロールを使ってシュートまで行くことができました。相手のディフェンスを収縮させながら状況判断をし、様々な展開で攻めることを徹底できたので、困ることなく攻められました」と効率良いオフェンスに手応えを感じています。
パヴィチェヴィッチ ヘッドコーチが日本にもたらせた世界基準のバスケットスタイルは、日本を確実に前進させてくれました。それは選手たちが実感しており、以下に選手たちのコメントを紹介します。
■#0 橋本 竜馬選手(シーホース三河)
ルカコーチは厳しく、基礎や規律を重んじ、それが出来なければ激しく怒りをあらわにし、これまで教わってきたコーチとは異なるタイプでした。自分の中では本当に良いスパイスをもらい、まだまだ成長できると思えることができました。本当に日本にとっては良いきっかけを与えてくれたコーチです。
■#2 富樫 勇樹選手(千葉ジェッツ)
ディフェンスではヘルプしすぎないことは新鮮だったとともに、日本代表として戦っていても必要な部分だと思っていました。その部分で共通理解を持って戦えたことは手応えを感じましたし、これから新しいヘッドコーチになってもその部分を継続しながら、さらなるステップアップができると思います。すごく勉強になりました。
■#15 竹内 譲次選手(アルバルク東京) ※キャプテン
今大会は対戦相手のことよりも、自分たちの土台を高くするためにルカコーチが強化してきたディフェンスを激しくすることをどれだけ出せるかにこだわっていました。それをコーチは追求していましたし、僕らもそれに応えられるよう一生懸命取り組んでいました。ルカコーチから教わったディフェンスが今後の日本のスタンダードとなるように、ヘッドコーチが変わっても次の「FIBA ASIAカップ」でもしっかり出せるようにしなければなりません。そこに新ヘッドコーチの色を融合できるようにしたいですし、ルカコーチから学んだことを土台にして今後も戦っていきます。
これまで学んできたことを最後の試合でしっかりとコート上で表現し、パヴィチェヴィッチヘッドコーチのラストゲームを勝利で飾ることができました。7月からはフリオ・ラマス 新ヘッドコーチが指揮を執ります。
「ディフェンスで最大限の力を発揮できるシステムを作ることが私の仕事でした。もちろんピック&ロールなどを教えましたが、オフェンス面はどのヘッドコーチでも活用できる一番ベーシックなことしか教えていません。最初から新たに来るヘッドコーチのシステムにそぐわないプレイを教えようとは思っていませんでした。これまで私が強化してきたことをラマス氏にも伝え、彼のプレイブックに追加してさらに強い日本を作ってほしいです。彼のためにも力を貸していきたいです」とパヴィチェヴィッチ ヘッドコーチは話し、しっかりとバトンが渡されます。
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